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最近読んで面白かったSF小説3冊をゆるく紹介する

小説
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ビジネス書をたくさん読んだ2023年とは打って変わって、2024年はストーリ系の本を読んでいます。

今日は、面白かったSF小説を3作紹介します。

面白かったSF小説3作

1. プロジェクト・ヘイル・メアリー – アンディ・ウィアー

超有名なSF傑作のひとつですね。あまりに評判が良いので読んでしまいました。

SF界の巨匠アンディ・ウィアーの作品で、2021年12月に初版が刊行されています。全然新しい本ではないですね。

とにかく前情報なしで読もう

本作の面白いところは、「なにもわからない読者と、なにもわからない主人公」が一緒になって、いろんな謎や過去、事実を「解き明かしていく」ところ。

だから、とにかく読者も前情報なしで読むのがお作法だと思います。

なので本記事では、中身には触れずに面白さだけ語ります。

科学考証がガチ

プロジェクト・ヘイル・メアリーのすごい点として、その科学考証のガチさがあります。

たとえば、振り子の振れ方から重力の大きさを計算する描写や、恒星の表面の点が移動する速さから自転周期を計算する描写など、本当の物理法則(少なくとも読者にはそう見える)をもとに様々なものごとが解き明かされていくため、実際に物理法則を用いて謎を解いていく感覚になっていきます。

SF(サイエンス・フィクション)の名に恥じない、本格サイエンスだと感じます。

でも人間描写もすごい

主人公が結構ヘタレで自己中心的な感じです。でも、それがまたリアルな感じで面白いところです。でも主人公はただのヘタレではなくきちんとした科学者で、科学者なりの知的好奇心をしっかり持っています。

そして、知的好奇心を軸に謎をとき、次々に問題を解決し、知的好奇心に突き動かされるまま動くなかで「友達」を得ます。

サイエンスの側面だけでなく、人間の葛藤や興味関心、生きる理由といった内面もしっかり描写されているのが面白いところです。

2年以上前の本ですが、とにかく読んでほしい1作です。

2. 息吹 – テッド・チャン

こちらもSF界のビッグネーム、テッド・チャンの作品です。

短編集になっていて、『息吹』はその中の1作品の名前です。

テッド・チャンの作品は、虚実入り混じった「どこまでが本当で、どこからがフィクションなのか一瞬わからない」絶妙なサイエンス加減が特徴です。

  • 幼児から育てていって人格を形成していくようなAIが、人間と共存する世界の話。
  • 「押す1秒前に光る」ボタンが開発された世界の話。
  • ある選択をしたとき、「選ばなかった選択肢の世界線にいる自分」と話せるデバイスが出回った世界の話。

このように概要だけ述べるとどう考えてもフィクションなのですが、これらの設定を取り巻く描写がナチュラルで、なぜか実際の物理現象などで説明できてしまいそうな語り口で語られていて、不思議なリアリティをもって目の前に現れます。

説得力のある妄想、という感じでしょうか。

面白かったです。

3. あなたの人生の物語 – テッド・チャン

テッド・チャンは素晴らしい作家でありながらも非常に寡作で、これまで2冊しか本が出ていないそうです。

今年、2冊とも読んでしまいました。こちらも短編集です。

表題作は映画化されているらしい

映画化もされている表題作の『あなたの人生の物語』は、本記事の最初に紹介したプロジェクト・ヘイル・メアリーと同じく「前情報なしで読む」のがおすすめです。できれば2周するのがいいです。面白いのでおすすめ。

もし人間の感覚が○◯だったら?という切り口

『息吹』と異なり、こちらは「人間にもしこういう変化が起きたら?」という観点で書かれた作品が多いように思います。
特に、「理解」と「あなたの人生の物語」は、通常の人間には理解できない情報処理スキルを身につけた人類にはどういったことが起きるのか?という点を膨らませていて、好きな作品でした。

例えば、人間は「時間には方向があり、空間には広がりがある」と考えます。
「広い時間」「短い空間」とは言わないですよね。
でも、その時間と空間の感覚が逆転している宇宙人がいたらどうでしょうか。
彼らにとって空間は「進んでいくもの」であって、時間は「広がるもの」だとしたら?
彼らとのコミュニケーションはどのようなものになるでしょうか。

時間と空間の逆転

数学における微積分は、時間の概念と絡めて説明ができます。

例えば「時速60kmの車」という説明を例にとると、
この車が実際に距離60kmを走ってみせなくても、時速60kmであることがわかるのはなぜでしょうか?

これは、「ある速さで1時間走れば60km進む」というグラフの傾きを読むことで「このままの速度なら1時間に60km進むぞ」ということが判明した、ということになります。これが微分の一つの説明になります。

一方、積分は「下道や高速道路、いろんな速さで走ったけど、最終的に100km走ったぞ」という成果全体を測るものであると言えます。その時々では時速30kmだったり、時速80kmだったりしたでしょう。それらの瞬間瞬間を積み重ねて、トータルの走行距離を積み上げていくのが積分です。

僕らの世界ではこのように「速さがあって時間があって、それが距離になる。その時々の速さが知りたい時は、微分を使う」という考え方が一般的です。
しかし、彼ら宇宙人の世界では、微分積分(つまり、瞬間速度と合計到達距離のような演算)が先にあって、そこから複雑な計算を経て「速さ」を求めることになります。
なぜなら、彼らにとって「時間は広がるもの」で、「空間は進むもの」だからです。

わけわからなくても面白い

わけわかんないでしょう?
大丈夫です。わけわかんなくても楽しめます。

そんな「時空がひっくり返った宇宙人とのコミュニケーションに熟達した人類」がどうなってしまうのか。
というお話が、『あなたの人生の物語』です。
めっちゃ良いのでおすすめ。

ビジネス書・自己啓発書も良いのですが、
小説を通して色々な世界に触れてみるのも面白いと感じました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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