この本はどんな本?
この本を一言で言うと、
加速する社会で必須になりつつある「要約」のスキル
要約力を構成する要素を分解して解説し、要約力の高めかたを具体的に教えてくれる本です。
要するに何を言っている本?
この本のポイントを2行でまとめると、
- 要約とは「死んでもこれだけは言っておく」を伝えること。
大事なところを残して残り9割を捨てることが、伝わる要約をするためのポイントである - 話を短くする方法だけを持っていても仕方ない。
正しく情報を集めて整理するプロセスが大切である
「要約力」とは
本書のタイトルにある「要約力」とは、下記のプロセスを行う力だとしています。
- 情報をしっかりと集めて
- 情報を整理して
- 相手にとって必要なことを
- 必要な量にまとめること
つまり、要約のスキルというのは単なる「まとめる力」だけではなく、「情報収集」から「狙った相手に渡す」ところまでを含む全体のスキルであると言っています。
要約のプロセスは、まとめると
- 情報を集める
- 情報を整理する
- 情報を伝達する
の3つの段階にまとめられます。
要約までの3つのステップ
【情報収集】要約する情報を集める
スポーツでもゲームでも旅行でも構いません。あなたが今打ち込んでいるものがあれば、それについて、1時間でも2時間でも平気で話すことができるのではないでしょうか。それは、あなたが情報を持っているからです。 一方で、急に「では、今からエチオピアの経済について話してください」と言われても、あなたは話すことができないでしょう。それは情報を持っていないからです。
9割捨てて10倍伝わる「要約力」
人に何かを説明するためには、情報を持っている必要があります。
自分が知らないことを要約して相手に伝えるためには、的確な情報収集が欠かせません。
この情報を集める際に、情報の「量より質」を重視することが大切です。
がむしゃらにネット検索などで情報を集めるのではなく、
信頼できるソースをしっかりと選んで情報収集をすることを勧めています。
RAS活性化・選択的注意を活用する
RAS(脳幹網様体賦活系)という脳の部位があって、これは「どの情報を取り、どの情報を取らないか」を選択している司令塔のような部分です。
ある言葉を新しく知ったとき、その言葉を急にテレビなどでよく聞くようになったといった経験はありませんか?実はそれが、RAS(脳幹網様体賦活系)のはたらきによるものです。
RAS(脳幹網様体賦活系)については、以前紹介した「アウトプット大全」でも取り上げられています。
情報収集アンテナを張る
情報を集めるには、事前に「何の情報を集めるか」を自分で把握しておく必要があります。本書ではこのことを「情報収集アンテナを張る」と表現していて、事前に「○○について」のように調べたいことを書き出しておくと良いそうです。
筆者が推奨しているのは「9マスの表の真ん中にテーマを書き、周囲のマスに関連する情報を書き込む」という方法です。
書き出しておくことで上述のRAS(脳幹網様体賦活系)が活性化し、
よりその対象について深く認識できるようになるという脳の構造を利用するわけです。
【情報整理】相手に合わせて情報を整理する
情報は集めるだけでは、うまく伝わる形にすることができません。
なぜなら、伝えることには必ず「相手」がいて、「伝える目的・場面」があるからです。
例えば、「あなたの仕事について説明してください」と言われた人が、
「いつも上司に怒られていて参っているんだ。最近忙しくて…今日もお客様のところに行ってきたんだけど……」
などと説明しても、仕事内容を正しく伝えることは難しいでしょう。情報は持っているはずなのに伝えられない状態です。
一方で、要約がうまい人は「わたしの仕事は、法人様にオフィスで使っていただく機器を販売することです」のように、「ほどよく情報が入っていながらも全体感がわかる説明」をすることができます。
説明がうまいということは、
1.誰に、どれくらいの長さで話すのか
2.相手はどのような説明を求めているのか
これらを考えて、まとめることができるということです。
そのためには、情報をまとめ、優先順位をつけて、
相手が知りたい情報から逆算してまとめるスキルが必要になります。
本書内では、
グループ化・優先順位付けを通して効果的に情報を整理する方法が紹介されています。
【情報伝達】伝わりやすい形に整えて、伝える
いくつかのスキルを使って、伝わる要約をしよう
話の順番は幹→枝→葉
次の2つのうちどちらが、話の趣旨がわかりやすいでしょうか?
先週京都に行きました。朝の新幹線で行ったんですが、案外空いていて快適でした。京都について現地支社の社員と合流し、取引先にお邪魔して、今度始まる共同プロジェクトの話をしました。スムーズに進んで、良い話ができました。翌日は東京で仕事があるので、その日のうちに京都にとんぼ返りでしたよ。
先週会社の出張で京都に行きました。目的は取引先へのご挨拶と、今度始まる共同プロジェクトの打ち合わせです。現地支社の社員と私でお邪魔して、スムーズに話をまとめることができました。日帰り出張は疲れましたが、京都まで行った甲斐のある、有意義な話ができました。
この話の「幹」は、京都出張に行き打ち合わせをしたことです。
「枝」は現地社員と合流したり、結果が良かったということであって、
日帰りで疲れたという話は「葉」にあたります。
朝から行った、とか当日帰った、のような「葉」が無くても話は通じますよね。
よって、後者のほうが趣旨が通じやすい話し方をしています。
話がわかりにくい人はついつい時系列で話してしまい、小学生の日記のようになります。
ただ時系列で話すだけならそれでもかまいませんが、要約の観点ではNGです。
あいまいさを避ける
日本語はすぐ「あいまい」になる
〇〇という気がします
〇〇のようです
〇〇だと思います
〇〇ということもありそうです
このように、日本語には柔らかさを含んだ曖昧な表現がたくさんあります。
これらはコミュニケーションを円滑にしたり人間関係のクッションになる場合もあるため、絶対に使っていけないものではありませんが、
要点をズバッと伝えるときには注意して避けるべき表現です。
こういった言い方に注意を払い、ときに鋭く言い切れる人は、
ビジネスの現場でもイニシアチブを握り、存在感を示せる人でもあります。
数字を使うと伝わる
今月の業績はあまり良くありませんでした。来月は目標を達成できるように頑張りましょう。
今月は目標に対して売上が100万円足りませんでした。全体の成約件数でいえば10件不足で、
つまり、全員があと1件ずつ獲得していれば達成できたことになります。
来月は目標を達成できるように頑張りましょう。
このように数字を使って伝えることで、受け取る側が何を受け取り、何をすればよいのかを明確に把握することができます。言っていることは「頑張って来月こそ達成しようという共通のメッセージですが、来月の業績が良さそうなのはどちらか、なんとなくわかりますね。
【まとめ】情報の「質」に着目する
実践してみること
この本を読んで、わたしが今後実践することは、「情報の質に着目すること」です。
このブログは要約ブログですから、そもそも「要約力」は大きなテーマです。
これまで、膨大な情報をまとめるのに苦労するシーンもありました。
思い返せばそれは、情報の量をただただ多くあつめすぎていたのも原因でした。
9割捨てるために、的確に集める
実際に9割捨てる要約をするためには正しく情報を評価する必要があり、そのためには雑多な情報ではなく、より重要なことを的確に集めていく必要があります。
幹→枝→葉 という順番で話を組み立てていくのに、葉ばかりを大量に集めても仕方ないということですね。
情報の質に注目して、より的確な要約ができるようになっていきたいものです。
あと語り
要約の本を要約するというのは、
さっそく「読んだことは出来ているのかね?」と試されているようでもあり、
独特の緊張感がありますね。
本書のタイトルにもある「9割捨てる」というのは、
具体的に9割捨てるメソッドが示されているわけでは当然なく、
あくまで気持ちの問題として書かれているわけですが、
要約記事を書く身としては、7割捨てればだいぶ頑張ったほうだと思っていましたので
9割捨てる勢いで、今後もやっていこうと思います。
そんなわけで、
「重要なところを残して9割捨てろ」と説いている本の内容を9割捨ててみたのが、この記事です。なんとも趣深いですね。
9割捨てた結果、伝わる部分がほんとうに1割になっていたら目も当てられないですが
きっと何かは伝わっているといいな。
もし、「こんな記事じゃ全然わかんねえよ」と思った方は、
ぜひ本書を手にとって読んでみてください。10割載ってますんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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