リーダーの仮面
はじめに
仕事を続けていると、リーダーを任されることがあります。
優秀なプレイヤーだった人がいよいよリーダーに抜擢され、そこでつまづいたり、悩んだりすることはよくあることでしょう。
本書では、リーダーの振る舞いとはどうあるべきかを「仮面」というメタファーを用いて解説しています。
よくないリーダーの行動
本書では、以下のようなスタンスで行動するリーダーはよくないリーダーであると述べています。
- 多くを語らず、背中で引っ張っていく
- プレーヤーとして手本を見せて、見て学ばせる
- 部下が成果を上げたら喜び、しっかりと褒める
こういった「リーダーの立ち回り」を説く先輩や書籍もある中、本書では「リーダーとして必要な言動とプレーヤーとして必要な言動は異なる」という前提で、リーダーがどのように振る舞うべきかを説いています。
「人間関係」も「モチベーション管理」も、要らない
「人間関係」や「モチベーション」といった概念に頼らず、馴れ合いの学生気分ではない「仕事」のやり方を淡々と推し進めるという「役割」が、リーダーにはあります。
そのリーダーの役割を果たすための考え方を「仮面」という比喩で表現されています。
たとえば、リーダーの仮面をかぶり、リーダーとしてやることをやったとき、部下から「あの人は冷たい人だ」と思われたとしても、それはあなたの人格が否定されたわけではありません。
5つのポイントだけに注意しよう
リーダーの仮面をどのように活用し、どのようにチームを運営していけばよいのか。
本書ではルール・位置・利益・結果・成長という「5つのポイント」だけを見れば良いと説き、それぞれ多くの例え話を含めて解説されています。
本書を読み進める上で、「ここは重要だ」と思ったところにマーカーを引いていたのですが、あまりに重要だと感じるところが多すぎたため、ページのほぼ全体にマーカーが引かれるような事態に陥ってしまいました。
本記事では全体をまとめることはせず、「ルール」と「位置」のポイントに絞って解説します。
続きが気になった方は本書を手にとってみていただけると嬉しいです。
チームは「ルール」で管理する
ルールと聞くと、堅苦しいもの・無い方が良いものと思われがちです。
しかし、実際にはルールがない方がストレスのもとになります。
例えば、信号のない交差点と信号のある交差点、安全かつ気軽に渡れるのはどちらでしょうか。
職場で、「気がついた人が窓の掃除をする」という暗黙の了解があったとします。
職場に「いつも誰もやってくれない。わたしがやらないと!」と常に怒っている人はいないでしょうか?
これはまさに、ルールが決まっていないから起きる問題です。
- 交差点では、赤信号で止まらなければならない。
- 窓の掃除は、月曜日は田中さん,水曜日は鈴木さんというふうに決める。
毎日、「空気の読み合い」をさせないことが、マネジメント上でルールが大切になる理由です。
ルールを作るためのルール
それでは、ルールを作るには「どんなルールを」「どうやって」「誰が」決めれば良いのでしょうか?
誰でも守れること
ルールを決めるからと言って、守れる人と守れない人が分かれるものはNGです。
例えば、「売上は100万円あげましょう」などです。
これは「行動のルール」といって、「守れる場合と守れない場合がある」のが特徴です。
誰でも守れる「姿勢」のルール
一方で、ここで決めるべきルールは「姿勢のルール」と言い、以下のようなものです。
- オフィスに入ったら、挨拶をする
- 会議には遅れずに参加する
- 日報を17時までに提出する
これらは、やろうと思えば誰でも守ることができます。
言語化されていること
ルールは必ず「捉え方に個人差が出ないよう言語化されている」ことが大切です。
たとえば、先程「会議には遅れないようにしよう」と決めたとします。
すると、3分前に入室する人と、15分前に入室する人が出てきました。
15分前に入室する人からすると「3分前に来るなんてギリギリすぎる。やる気がないのではないか。私はこんなに早く来ているのに。」といった不満が発生することがありますよね。
そこでマネージャーが行うべきルールの言語化は以下のようなものです。
- 会議開始時点で遅れなければ良いので、15分前に入室する必要はない
このように共有しておくことで、「私は早く来ているのに、他の社員はギリギリに来る」といった不満をなくすことができます。
リーダーが主語であること
ルールを決めるのはリーダーの仕事です。そのとき「人のせい」にしないことも大切です。
例えば以下のようなルールはよくありません。
- 世間一般では挨拶はするものだから、うちも挨拶はきちんとしましょう
- 部下の〇〇さんが提案したように、10分前に会議室に入室するようにしましょう
- あの取引先は言葉づかいにうるさいから、メールは丁寧に書いてね
このように、根拠がリーダー以外の所にあるルールはNGです。
特に3つめのような、「取引先」や「さらに上の上司」といったものを仮想敵として、部下と上司が「仲間」であるかのように振る舞うルールは最悪です。
リーダーがルールを伝えるときは、自分を主語にします。
- 出勤したときは、挨拶をしてください
- 10分前に会議室に入室してください
- メールを書くときは、「ら抜き言葉」や砕けた言い回しに注意し、丁寧に書いてください
仮にルールを策定する根拠やきっかけが外部の要因であったとしても、「ルールとして決めたのはリーダーの私ですから、守るように」ということをきちんと表明して、その結果に責任を持つようにします。
変化していくことを恐れないこと
会議には10分前に入室するというルールを策定したものの、特に準備をするわけでもなく
ただ空白の時間が余っていることに気がついたとします。
10分前じゃなくて、5分前でもよかったかもしれない。
そう思ったら、恐れずに潔く、ルールを変更しましょう。
「10分前に集まるというルールは間違っていました。今後は5分前に集合してください」
間違ったルールを正すのも、ルールを決めた人の責任として重要なポイントです。
組織内での「位置」を正しく把握する
ピラミッド型組織をきちんと運用する
ピラミッド型組織に抵抗感を感じる理由
「ピラミッド型組織」と聞いて、前時代的な悪い構造であるといったイメージを持つ人もいるようです。
抵抗感がある理由としては、「承認フローが多くなり判断が遅くなるじゃないか」「結局上が決めるのだから、中間管理職などがいる意味がない」といった感覚があるかもしれません。
しかし、それはピラミッド組織を正しく運用できていない状態です。
正しくピラミッド組織を運用できると、意思決定は速くなります。
「位置」を正しく把握する
ピラミッド組織では、上の方にいる人が基本的に責任・決裁権を持っています。
そこでよく起きるのが、中間管理職が「自分で決められない」問題です。
部下から判断を求められても自分で決断ができないため、さらに上の上司に確認します。
そこで得られた回答を部下に伝達するだけの「伝達係」となっているケースです。
このようなことをしていては、ピラミッド組織のメリットが感じられないのも当然です。
正しいピラミッド組織では、「自分がどこまで決めて良いか」を、各リーダーがきちんと把握しています。
たとえば、「山登り」をするプロジェクト=仕事があったとします。
山登りを完遂するため、以下のようなピラミッド組織を結成しました。
- 社長・・・「山頂を目指す」と決める人
- 上司・・・地図を持っている。道を決める人。
- 社員・・・目の前の道を歩く人。
例えば、社員が「道がわからなくなった」と上司に聞いたとして、上司は「地図をみて、正しい道を示す」のが仕事になります。
しかし、そこで社長にエスカレーションして「地図を見たらこちらが正しいのですが、進めてよろしいでしょうか?」みたいなことを確認しようとしてしまいます。
社長は「山頂を目指すぞ」ということを示すのが仕事ですから、社長→上司の回答はこうなるでしょう。
「地図を見て、山頂に向かっているのであれば、それで進めてくれ」
社長へのエスカレーションは時間の無駄だったことがわかるでしょうか。
しかし、実際には多くの会社でこのようなことに時間が使われています。
上司は、「自分が地図を持っている。プロジェクトのゴールは山頂に行くことなのだから、部下が道に迷わないように、地図を見て道を決めるのが仕事だ」ということを認識していれば、部下が道を見失ったときに社長にエスカレーションする必要はないわけです。
上の「位置」から見えている情報で全体を進める
たとえば、山登りプロジェクトの途中で、社員がこんなことを言い出しました。
- 水が無くなったのでもう歩けない。川を探して下に向かいたい。
- こんな道で山頂につくわけがない。こっちの上り坂を行くほうが確実だろう。
ここで、位置をうまく掴めていない上司は、このような対応をしてしまいます。
- 確かに水は大事だ。一旦降りてみようか。
- 地図には載っていないけれど、その道を進んでみたいと思うなら、それでもいいよ。
職場でも、「細かいところは部下の判断に任せる」としておきつつも、実際はかなり大きな裁量を部下が握っていることもあります。
このように「部下の判断に任せる」といった選択は、リーダーが取るべきではありません。
「地図を見て道を示す」という責任を果たしていないことになるからです。
具体的には、以下のように部下に回答します。
- 確かに水は大切です。地図によると、本日の目標としている地点の近くに川があることがわかりました。そこまで進みましょう。
- 地図に載っていない道を選択することは遭難リスクもあり、登頂という結果につながらないことが予想できます。なので、地図にある道の通りに進んでください。
ポイントは、「部下の提案を全部却下するのではなく、情報として受け取り、上司の判断すべきことを上司の目線で判断する」ということです。
この例え話では、地図を持っていない人が道を提案するというのはナンセンスだということが理解できると思います。
しかし現実では、全体を俯瞰したビジョンを持っていない立場の社員が業務の進め方に意見をしたり、上司の言うことが納得できないからやらない、といったことが起きたりします。
「位置」は「偉さ」ではなく「役割」
リーダーによくある失敗として、「部下に嫌われたくない、部下に気持ちよく働いてほしい」と思うあまり、うまく指示を出せないケースがあります。
- 忙しいところ悪いんだけど、この資料を作ってもらえないかな。
時間があるときでいいから。 - 今回だけ、この業務をお願いしてもいいですか?
次回は別の人にお願いするので、今回だけお願いします。 - 今度ご飯を奢るから、これをお願いしてもいいかな?
言い切り型で指示できず、いつもお願い型で指示してしまうタイプのリーダーは、「指示を出す=偉い→偉そうにするのは良くない」と考えている可能性があります。
上司と部下という肩書はあくまで会社の組織としての「機能」の違いでしかありません。
先ほどの山登りの話で例えると、単に「地図を持っている人か、そうでない人か」の差でしかなく、そこに人間的価値や「偉さ」といった違いがあるわけではありません。
地図を見て指示を出す人が、「足場が悪くて、お疲れのところ恐縮ですが、上に登っていただけないでしょうか?」のように部下に謙る必要はなく、また逆に「俺は地図を見ているのだから、お前たちは黙って歩いていれば良い」といった横柄な態度を取る必要もありません。
「地図を見ればこちらの道が正しい道です。こちらに進みます」で良いのです。
報連相から感情を除外する
報告・連絡・相談 の3つを略して「報連相」と言われます。
最近では「報連相は不要。部下が自発的に行動していれば良い」と言われるケースがあるようですが、本書では「報連相は必要である」としています。
部下の自発的な行動を期待するだけでは、自発的に行動できなかった部下をずっと放置してしまうことになるからです。
一方で、報連相の内容・方法・頻度を最適化することで、全員が成長していくことができます。
ここでは、「報連相でありがちなミス」から、どのように報連相を回していくのか紹介します。
報連相のポイント
上司から「あの件どうなってる?」と聞いてはいけない
上司が部下に仕事を任せたあと、上司から「あの件どうなってる?」と聞かないといけないケースがあります。これは良くない状態です。
報告するタイミングも内容も曖昧で、上司が気になったときに確認する方法になるためです。
組織にとって最悪なのは、「報告したり、されなかったりする」ことです。
その環境では、部下は「調子が良いときは報告するが、悪いことは隠す」ようになり、会社の課題に気づくことができないためです。
これを防ぐには、仕事を任せるときに報告する頻度と方法まで決めてしまうのがポイントです。
この作業を7月3日の17時までにお願いします。毎日17時に、進捗を日報で報告してください。
このように、部下から報告をするようルール化するのです。
このルールは「姿勢のルール」ですから、誰でもできるはずです。
報告を受けて一喜一憂してはいけない
昨今では、「上司は良い報告を受けたら大げさに喜んで、部下を褒めましょう」といった風潮があります。モチベーションを管理して業績をあげようとするマネジメントのアプローチですね。
いっぽう本書では、このような態度を否定しています。
理由は、「仕事は会社に利益をもたらすためにやることであって、上司を喜ばせるためにやるものではない」からです。
さらに、裏を返せば「上司が喜ばない場合は仕事をしない」という考え方の元になります。
同じ理由で、報告を受けたときに「叱る」「鼓舞する」というのもNGです。
- 目標を達成したね。すごいじゃないか!次もこの調子で頑張ろう!
- 目標に届かなかったね。でもよく頑張っていたのは見ていたよ。次は頑張れ!
これらは一見よさげに見えるフィードバックかもしれませんが、本書では全てNGとしています。
仕事は会社の利益のためであって、上司に怒られないために行うものではないからです。
それでは、上司はどのようにフィードバックをすればよいのでしょうか。
本書で提案されているのは「感情を排し、機械的に報告を受け取る」です。
- 目標達成ですね。お疲れ様でした。
- 目標未達成でした。次はどうしますか?
どの行動をどう改善しますか?
これだけです。
達成しても褒めてはいけない
褒めない理由は、「目標達成は当たり前だ」という認識を崩さないためです。目標を達成しただけで偉業を成し遂げたと思ってしまうと、「当たり前」の基準が下がってしまいます。
一度褒めてしまうと「次回、同じような結果で褒められなかったとき」に、部下がやる気をなくす原因になります。
先述の通り、「仕事は、上司に褒められるためにやるのではない」のですから、褒める・褒めないでブレるような要素は排除すべきだという考え方です。
また感情を入れないルールを徹底すると、上司の気分に左右されずにいつも同じフィードバックを返しやすいこともメリットです。どうしても「喜ぶ」というリアクションを毎回同じように行うのは難しいですが、部下からすると「同じ結果なのに上司のリアクションが毎回違う」というのはストレスのもとになります。
未達成ケースでは、怒らないで次の行動をたずねること
「未達成でした」という報告を受けたケースでは「怒らない」ことと、「次の行動を詰める」ことがポイントです。
怒ってしまうと、部下にとって報告自体が億劫になります。
また、上司を喜ばせるために仕事をしているのではないのと同様に、「怒られないために仕事をしている」のでもないのです。
だから、怒ってはいけません。しかし、上司には部下の業績を改善させる責任があります。
なので、「次はどうしますか?」と具体的なアクションをどうするか詰めていきます。
- 今月は50件の営業と20件の成約が目標でしたが、
結果は50件の営業はかけたものの、15件の成約で、未達でした。次はどうしますか?
といった具合です。
部下は「50件営業をかけましたが、成約率が想定より低い状態でした。20件の成約を取るため、次月は65件の営業をかけます」といった具合に報告します。
上司はそれを受けて、「了解です」とだけ回答すれば良いのです。
仕事の報告は、冷たくてよい
どうでしょうか。冷たいやりとりに見えたでしょうか。
ここで解説したいのは、リーダーの仮面という言葉です。
本書では、部下の顔色を見ておちゃらけたフィードバックや中途半端な優しい声かけをせず、ひたすら仕事の結果に向き合う姿勢を貫くツールとして「仮面」という比喩を使っています。
感情を排して対応にあたった上司のケースは、文章で読んでみると冷たく見えたかもしれません。
しかし、実際には以下のような上司が多いのではないでしょうか。
- 良い報告をしたら喜んでくれるが、悪い報告をしたら怒ったり素っ気ない反応を返してくる。報告した部下も気まずくなり、次回から報告したくないと感じる。
- 目標達成しなかったことを報告すると、もっと頑張れ、誰々を見習え、俺が現場にいたときはもっとこうしていた、などと鼓舞したり説教をしてくる。
これらは、「人間的な反応で親しみやすい」でしょうか。実際には報告するのが嫌になるような反応だと思います。
それでも、一部のビジネス書では「上司は部下の報告に一喜一憂せよ」と説くものがあります。これは全く的はずれなアドバイスであると、本書では述べています。
淡々と、毎回同じように、どの部下に対しても同じように、機械的に報告・連絡を受け取るのが良いというのが本書の結論です。
部下に権限があるのに相談に乗ってはいけない
報告・連絡と異なり、取り扱いが難しいのが「相談」です。
相談は、報告のように「1日1回」や「日報で提出」のようにルール化が難しく、また部下も困っているため、臨機応変な対応が必要になりそうに思えます。
相談についてはシンプルで、上司が部下の相談に乗ってよいのは以下の2つのパターンだけです。
- 部下が自分で決められない内容
- 部下で自分で決めてもよいか判断に迷う内容
つまり、部下には値引きの決裁権が10%まで認められているが、競合他社に勝つために今回は20%の値引きに応じないといけないときや、
クレーム対応でお客様が「上司を出せ」と言っていて、上司を動かして良いのか迷う場合などがあげられます。
こういった場合には、相談内容を聞いてアドバイスすれば良いでしょう。
相談に乗ってはいけないケース
逆に相談に乗ってはいけないのは他のすべてのケースです。
たとえば「部下にその権限があるのに、部下が自分で決めたくないから相談してきたケース」などが含まれます。
お取引先様が10%値引きしてほしいと言っています。
いつも大量発注いただいているお客様なので、進めて良いですか?
といった具合です。
その場合の上司の回答は、
「それはあなたが決めることだから、あなたがお客様にとって一番良いと思う提案をしてください」と突き放すのが正解です。
もしそこで「10%引きで進めれば良いと思うよ」などと答えてしまうと、部下の権限で行うべき判断を横取りしたことになり、次からも自分で決めることをしない部下に育っていきます。
その結果、10%引きを連発して売上目標が届かなかったときに、部下は10%オフを指示した上司のせいだと感じてしまうかもしれません。
その判断の責任を負うべきなのは部下ですから、その判断の責任と権限を横取りしてはいけません。
必要以上に相談に乗ることは、部下の責任範囲を狭くし、言い訳できる環境を作ることになるのです。
あと語り
本書は「リーダーの仮面」というタイトルの通り、「プレーヤー」から「リーダー」になる人に向けた本です。
仮面という言葉にある通り、仕事のうえでチームと向き合うときに、いかに「感情」「気分」といった部分に影響されず、やることをやる。
さらに、それは自分の人格によって行われるわけではなく、あくまでも仕事の進め方として「やることをやる。それによって評価される」チームをきちんと作り上げていくことによって、チーム全体の成長に繋げていくというアプローチです。
昨今の、「パワハラ」「セクハラ」の告発といった所謂「下剋上」のような手段が一般的になり、上司は部下に対して腫れ物を触るように接するしかないのか、というジレンマもあると思います。
本書で紹介されている「識学」の考え方では、仕事の判断・評価から感情を廃する仕組みをつくり、成果を評価し、正しく成長していける組織では、パワハラは発生しないそうです。
パワハラを紐解いていくと、「明文化されていない・ルール化されていないことで、上司に上の立場から叱られる」ことだからです。
予め「100万円売ります」と目標を決めた部下に対して、「80万円だったので未達です。次にどう行動しますか」と聞いていくことは、厳しくはあるもののパワハラにはなりえません。
それは登山の例え話でもわかる通り、「上司は機能であって、人間的に上位の存在=偉い、ではない」ということを上司が自覚し、機能を果たすことです。
個人的には「どこまで権限があるかわからない中間管理職になるぐらいなら、平社員が良い」と考えていた人間だったのですが、リーダーの仮面を身に着けてチームで成果を上げることについて、とても希望が持てました。
前回紹介した「数値化の鬼」とともに、すべてのサラリーマンに読んでいただきたい本でした。
以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント