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夢や目標をかなえる手帳術の名著を5冊読んだのでまとめてみる

手帳で夢をかなえる全技術 仕事術
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夢を叶えたい、人生を変えたい。
そういうニーズはいつの時代でもあるようです。

ビジネス書や自己啓発書の一部のジャンルとして、「手帳を使って夢を叶えよう」という分野があります。

今回はそういった系列の本のうち、元祖に近いと思われるものを5冊読んできました。
概ね言っていることが共通していることがわかってきたので、まとめてご紹介します。

だいたいの本が主張していること

多くの「手帳で自己実現」系の本には、以下のようなことが書かれています。

  1. 目指す未来を描け、紙に書き出せ、それを持ち歩け
  2. 描いた未来に対して、「今」できることを計画せよ
  3. 計画したら実行して、「振り返り」の時間をとって改善・修正を重ねよ
  4. メモを侮るな。人間はすぐに忘れる

大筋では上記のようなことが書かれているのですが、著者の成功体験や主張によって、細かい差があります。

パターンに分けてみる

「手帳で自己実現」系の本には、いくつかのパターンや傾向があります。

以下のようになります。

  1. 原則・価値観に基づき人生をデザインする系
  2. とにかく行動せよ系
  3. 目標から逆算せよ系

順番にみていきましょう。

原則・価値観に基づき人生をデザインする系

原則や価値観といったものを軸に、手帳術を展開していく系の本たちです。

具体的には、「まず未来像を描け。そのために、自分にとって一番大事なものを決めろ」というコンセプトから始まります。

観測範囲において、この考えの元祖は『TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント』かと思います。この本は「フランクリン・プランナー」という有名な手帳を作った「ハイラム・スミス」さんの書いた本です。

例えば『TQ-心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント』では、価値観を見つけるためのワークをこのように紹介しています。

  1. 家の前の道路に30メートルの鉄骨を持ってこられて、「これを一度も落ちずに渡り切ったら100万円あげます」と言われたら、あなたはチャレンジしますか?
  2. では、地上400メートルの高層ビルの間に同じ鉄骨を渡しました。
    落ちずに渡り切ったら100万円です。やりますか?
  3. あなたは、2の条件の一本橋を、「なにを引き換えにしたら」歩いて渡りますか?
    (たとえば、自分が渡らないと家族が突き落とされるなど)

なかなかエゲツナイですが、わかりやすいですよね。

予想がつくと思いますが、2のケースでは「命懸けで100万円は割に合わない」と感じる人がほとんどのようです。この時点で、「自分の価値観では、命の方がお金より大事だ」ということになるわけです。

では、「自分の命をかけてでも手に入れたいもの・守りたいものがあるか」という問いかけですね。

このように、「自分が本当に大事にしているもの」を明らかにして、そのために人生を設計することを勧めているのが、このジャンルの本たちになります。

同書に、もうひとつ感銘を受けた言葉があるので紹介しておきます。

時間はお金と同じである。一時間テレビを見るとき、それは、その時間を何に 使わない ことに決めたことになるだろうか。そう、そのほかのすべてにである。

誰かがあなたの銀行口座からお金を盗み出したら、どう思うだろうか。当然、腹を立てるだろう。でも、さまざまに姿を変えた泥棒が生活に忍び込んできて時間を盗んでも、まばたき一つしない人がほとんどなのである。

「時間がない」と言うとき、テレビを見ることやクロスワードパズルをすることなど、本当はどうでもいい出来事を、子供と遊ぶとか、近所の人ともっと親しくなるとか、書きたいと思っていた本を書くとかいった本当に大切な出来事よりも大切にしている、と私たちは言っているのである。

どうでしょうか。

時間がない という言葉は、「ほかにもっと大切にしていることがある」という意味である、と言っています。

例えば「仕事が忙しくて親の誕生日に会いに行けない」という会社員がいたとしたら、「親の誕生日より仕事を大事にしている」ことに他ならない、ということになります。

「いやいや、本当に仕事が忙しくて、それどころじゃないんだよ」と言われるかもしれません。

では若干不謹慎ながら、「親が亡くなったので通夜・葬式に出る」だったらどうでしょう。それでも「仕事で忙しい」と言うでしょうか。(忌引きなど、制度的に許されやすい面はありますが、仮にそれが無かったとしたら?)

このような考え方から、手帳を使って計画し、実行し、行動し…と繋げていくアプローチがこれらの本になります。この種の本の中では「王道」と言って差し支えないでしょう。

『TQ』に端を発するこれら「価値観・原則系」の本には、以下のようなものがあります。

とにかく行動せよ系

次に、「とにかく行動せよ」という主張がメインの本です。

最たるものは、大坪 勇二さんの書かれた『手取り1655円が1850万円になった営業マンが明かす月収1万倍仕事術』でしょうか。

この本はタイトルにもある通り、完全歩合制の保険会社の営業マンであった著者(妻子持ち、34歳)が、ある給料日に振り込まれた額が1655円しかなかったことをきっかけに奮起し、実際に自分の行動を変えて成功するに至るノウハウ本です。

うまくエッセンスを抽出すれば、営業職ではなくても参考になります。

具体的には以下のようなことを言っています。

  1. ゲーム感覚で行動をしろ。結果ではなく「行動」にフォーカスしろ
  2. スケジュールを時間割のようにブロックで区切り、すべての枠に「商談や飛び込み営業のような具体的行動」を入れろ
  3. 時間割以外の時間に、「新規顧客の開拓」につながる細かい仕事(電話するなど)をやれ
  4. 3の行動はポイント制として、毎日20ポイント獲得を目指せ
  5. 目指す目標を思い描け、妄想しろ、紙に書いて持ち歩け
  6. 夜のうちにやりたいこと、タスクや挑戦したいことを手帳に書いて、翌朝からスタートダッシュを決めろ

だいたい上記のような感じです。

「価値観」系の本では最初に来ていた、「未来を思い描け」というステップを、最初ではなく5番の「行動の支え」と位置付けて使っています。

この大坪さんのノウハウは非常によくできていて、「金を生む仕事=収穫」をする行動プラン術と、「金を生む仕事を生む仕事=タネ撒き」をする行動プラン術、さらには「人間はいつか疲れて動けなくなる」ことを前提に「燃料を補給する術」「次にやることが尽きないよう、アイデアを出して貯めておく術」のようなものまでセットになっていることです。

この大坪さんの主張を、もう少し抽象化するとこうなります。

  1. 毎日、少しでも多くのタネを撒け(利益を得るための下準備)
  2. 毎日、多くの収穫アクションをしろ(実際の利益)
  3. 疲れてくるだろうから、未来にどうなりたいか妄想しろ(モチベーションの維持)
  4. 夜とかに「明日はこれをやろう」って考えると月曜朝イチからスタートダッシュが切れるからおすすめ(アクションに迷う時間の削減)

非常に合理的ですね。

やはり波乱万丈の実体験というだけあって、手に汗握るドラマっぽさもあって非常に読みやすいのでおすすめです。営業マンに限らず内勤や接客業においても、抽象化して転用できる内容になっています。

金にがめついガツガツした営業マッチョの本、だと敬遠せずに一度読んでみることをおすすめします。

目標から逆算せよ系

価値観や原則といった根本的で高尚なものではなく、
もう少し具体的に「目標」から逆算せよ。というスタイルもあります。

代表作は『一冊の手帳で夢は必ずかなう – なりたい自分になるシンプルな方法(熊谷正寿)』です。

著者の熊谷さんという方はGMOインターネットグループを立ち上げたスゴ経営者です。

個人的な主観ですが、タイトルの「シンプルな方法」は半分本当で半分は嘘です
何が嘘かというと「シンプルではあるがめちゃくちゃストイックでマッチョ」であるという、後半の部分がわりと重要だからです。
個人的には「35年先に、自分と会社がどうなっていたいか」というシートを作って手帳に挟む作業は「シンプル」とは呼びません。(いや、めっちゃすごいし真似したいけどちょっと大変)

本書は何か単一の主張を述べているというよりは、経営者として何を大切にしているとか、こういうふうに目標に向かっていくのだ、といった「範囲が広めのノウハウ本」というイメージです。

例えば「感謝の気持ちを持てば周囲の人とうまくいき、それが事業の成長にもつながる」といった、一見陳腐でありつつも真理を捉えた内容も結構含まれます。

個人的には、この本1冊で人生を変える手帳術をはじめようとすると、挫折するんじゃないかな・・・と思います。でもいい本です。厳しいけれど。

まとめ + 本の上手な読み方

手帳で夢を叶える系の本は多く出回っていますが、今回紹介した本たちを起点にした「亜種・二番煎じ」にあたる本が多いのも事実です。

すべての本で、「結果は、行動でしか変わらない」ということと、「行動を変えるために、書くことの有用性」が主張されています。

『一冊の手帳で夢は必ずかなう – なりたい自分になるシンプルな方法』のGMO熊谷さんは「手書きだからこそいい」という旨を述べています。また、『手帳で夢をかなえる全技術』の高田さんは「デジタルより紙のほうが、折に触れてパラパラ見返せる。そこがいい」と言っています。

これらは人によって合う・合わないがあると思いますが、少なくとも僕が実践してみた感じでは割といい感じに機能します。

1冊に正解を求めないこと

この手の主張を読むときは、1冊の本・ひとりの著者に正解を求めないことが大切です。

(このスタンスは勉強・健康・ビジネス、なんでも同じですけど、手帳術でも同じです)

本質的には、どの本でも以下のことを言っています。

  1. 自分の本当に情熱を持てることを見つけて
  2. 計画を立てて、
  3. (一定の量を超えたレベルで)実行し、
  4. 振り返り、
  5. 次の計画をして、
  6. 定期的に、「本当に今の方向性でいいのか」確認する

言っていることはだいたいコレなのですが、それぞれの著者によって具体的なアプローチがだいぶ違います。

マッチョイズムな経営と長期ビジョン・野望をゴリゴリ推し進めるGMO熊谷さん、
「なぜ、あなたがそれを受け入れられないのか」のようなメンタル面のケアを忘れないセミナー講師のハイラム・スミスさん、
人生かかって火が着き、覚醒し、大量行動のためのノウハウをまとめた大坪さん。
それぞれの著者にはそれぞれの人生や背景があって、その状況・国・時代・職種だからブッ刺さった要素があるはずです。

それを、現代日本で平和に生きていて、今月も来月もとりあえず概ね同じ給与がもらえるような我々が実践するには、フィットしない内容があるのは当然です。

だからこそ、読者である我々は、「いろんな人の主張を聞いて、自分でも組み立ててみること」が重要であると感じます。

考えない人に向けた情報が溢れている

YouTubeなどを見ていると「これだけやれば正解」といった主張をする動画が多くあります。

では、なぜあんなに多くあるのでしょうか。本当に正解なら、動画は1個でいいですよね?
理由は簡単です。「これだけやってみたけどダメだった」人たちが、「次の正解」を求めてさまよっているからです。だから再生数が回って、儲かるから動画が増えるんです。

本も同様で、1冊に正解を求めると自分に合わなくて挫折することがあります。
1冊読んでもだめ、次の1冊も合わない。以下無限ループです。
それを脱するには、「自分なりの答え」を出して、失敗しながら修正していくしかないのです。

幸い、手帳は「計画し、行動し、結果を振り返り、次の計画を修正する」といったアクションに向いている分野です。なんせ「ズバリそのためのツール」なのですから。

手帳術の本で得た知識で手帳術を修正し、そのノウハウを生活や仕事に活かすことができれば、少なくとも行動は変わります。行動が変われば、少しずつ人生は変わります。

本や動画のせいにしない思考体力を身につけるためにも、同種の本をいっぱい読んでみて、「だいたい同じこと言ってんな」と思えたら、それをまとめて自分に活かせるか検討してみる。

これが、「インパクトだけで売り出す低品質本」が跋扈する現代における「賢い本の読み方」のような気がしています。

以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

<紹介した本たち>

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