今回は芸術家の岡本太郎さんが書かれた『自分の中に毒を持て』を紹介します。
YouTuberのマコなり社長なんかも何度か紹介されていて、そのたびにアツく語っておられたので、わたしも読んでみました。
客観的な学びがあるというよりは、人の語りを聞いて勇気と元気をもらうような、そんな本になっています。
ひとことまとめ
この本を一言でいえば
常に自分自身と闘い、過去を捨て、その瞬間瞬間を強く生きる勇気をくれる本です。
本書では一冊を通して、人生のあらゆる課題に対して力強く拳を握りしめ、
壁を殴り壊しながら進む芸術家のお話をひたすら聞くような体験ができる本です。
合う人と合わない人がいると思いますが、
単に話を聞いてそういう生き方もあるのか、という参考にするだけでも、読む価値がある本だと感じました。
二行要約
- 失敗しても、周囲になんと言われようとも、平気で自分自身を生きることをさまざまなエピソードを交えて語っている
- 安全で無難なレールの上の人生、自分を守るために何もできなくなる人生を否定し、怖いことや危険を感じること、失敗することなどすべてに立ち向かって生きることの楽しさと意義を説いている
本書のメッセージ性
本書では、一貫してこのようなメッセージを発しています。
失敗がなんだ。周囲に屈してどうする。出る杭になれ。恥をかくことを恐れるな。闘え。
言ってることはパワフルですが、あくまでも「ぼくはこう思って、こうしてきた」という語りであって、「あなたもこうしなさい」と言っているわけではありません。
本書では多くのエピソードが語られますが、尖った生き方を実践してきた人の言葉には一定の重みがあります。
内容だけが凄いというより、その言葉からパワーをもらうような、要約してしまうと魅力が下がってしまうタイプの本かも知れません。
興味が湧いたら、ぜひ読んでみて欲しいです。
厳選ポイント3つ
選択肢が現れたら「危険なほう」を選べ
2つの道から1つを選ぶとき、それは突き詰めると安全な道と危険な道である。
危険な道なのに迷うということは、本当にやりたいのは危険な道のほうである
個人的に一番納得したのが、
最初の章に書かれていたこの部分です。
言われてみればまさにそうで、二者択一の場面ではそれぞれにメリットとデメリットがあり、
そして客観的には「どちらが安全か」という問いに答えが出るケースは多くあるはずです。
そんな中で、「安全ではないのに惹かれる」選択肢こそがほんとうにやりたいことである
というヒントは、今後なにかを決めるときの大きな指針になると感じます。
自分を守るのではなく、ありのままの自分と闘う
プライドとは絶対感である
多くの人は、プライドや自尊心というものは他者からの評価によって傷つけられたり、
自分の失敗によって失われてしまうものだと考えていると言います。
しかし、ほんとうのプライドとは「自分がありのままの自分であること」を認め、
バカでも非力でもそれが俺だという「絶対感」をもつことが大切だと言います。
今やりたいことは、やってみればいい
やりたいことがあるなら、まずやってみると良い
続かなければ、続かなかったで良い。
まずやろうと思ったこと、やってみることに意味がある。
やらないのを過去や未来の自分のせいにしない
「どうせまた続かないから」といって、やり始めない とか
「〇〇になったらやる」といって先延ばしにするのは、
「やらない判断を過去の自分のせいにする」こと、「未来の自分にまかせること」にほかならない。それは現在の自分が、現在に責任を取っていない態度である。
過去や未来を言い訳にせず「今やってみる」ことが大切。それこそが現在の自分に責任をもつことである、と説いています。
ほんとうに生きるということ
本書の締めくくりに、筆者はこんなことを言っています。
人類が滅亡するかどうか、という議論があるがどっちでもいい。
滅亡するという説、しない説、両方に腹が立つ。
そんなことよりも今現在の人々は、ほんとうに生きているのか?
自分がやりたいことに対してさまざまな言い訳をしながら諦め、周囲の常識にとらわれ、敷かれたレールの上で惰性で生きることは本質的な意味でほんとうに生きているとは言えない。
人類が滅亡するとかしないとか言うまえに、まずは今を生きてみたらどうだ。
だそうです。耳の痛い話ですね。
総括:これからの行動1個
やりたいと思ったらやってみる
本書では全編を通して攻めの姿勢で語られており、
「やりたいなら、今やれ」「失敗を恐れるな」「危ないことでも、やりたいことならやれ」
と、とにかくいろんな方法で背中を蹴飛ばしてくる構成になっています。
実際この本を読んでから、
難しい選択肢・失敗しそうな選択肢こそが光って見えるようになったというか、
「危険だから無闇に避ける」という発想は回避できるようになってきたと感じます。
自分がやりたいことであれば(本当にやりたいことかどうかわからなくても)、
とりあえずやってみれば良いという励ましというか激励をくれる本でした。
「人生自慢」のようでギリギリそうでもない、「説教」のようで、それも違う、
純粋な生き様を語り聞かせている印象を受けました。
あと語り
たまに出会う「励まされる言葉」というのは、
必ずしも自分に対して向けられたものばかりではありません。
何気なく聞こえてきた言葉、他人の考え方などが不意に自分の心に残り、
意識的・無意識的に自分の小さな選択に影響し、いずれ大きな結果につながるような。
そんな経験は誰しもあると思います。
この本には、もの凄いパワフルなおっちゃんが持論を展開しているところを
どこか他人事のように、どこか物語のように聞く、そんな感覚があります。
大人になると、年長者の話を面白く聞けるような時期がありますが、それに近い体験ですね。
著者の岡本太郎さんは「太陽の塔」をつくった芸術家です。
太陽の塔に代表されるように、その作品は単に小綺麗なものではなく
心に何か違和感や畏怖にも似たザワツキを与えてくれます。
実際に万博公園に行って見ると、太陽の塔って普通に怖いですもんね。
そういった作品たちが生まれるに至った考え方や「芸術は爆発だ」といった有名な言葉についても触れられています。
他の本と同じように、すべてを鵜呑みにするのは難しいかもしれませんが
一冊読めばいくつか自分に刺さる言葉や考え方に出会える本になっています。
ぜひ一度読んでみて欲しい、オススメの本です。
ちなみに、プライドのくだりで語られる「絶対感」の考え方などは、アドラー心理学の「課題の分離」の考え方にも通じるところがあり、全く別のアプローチでありながら同じようなことを言っている本が複数あるという事実。
たくさんの本を読んでいて面白い部分です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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