最近、調子どうですか?
朝はパチっと目覚めて、身体の痛みや重さもなく、軽快に日々を過ごし、夜はスムーズに眠れているでしょうか?
もしそうなら、この記事も、今回紹介する本も読む必要がありません。
しかしそうではないから、この記事をクリックしたんですよね。
今回は、鈴木祐さんの書かれた『最高の体調』を紹介します。
ひとことまとめ
この本を一言で言うと、
現代人のあらゆる体調の悩み(疲れやすい・眠れない・アレルギー・慢性的な不調)に対して、進化論的な観点で分析し、筆者の実体験や世界中でさまざまな暮らしをする人たちの調査を踏まえて、体調を改善するためのヒントを与えてくれる本です。
二行要約
この本の内容を二行でまとめると、
最高の体調を得るためには、食事・運動・メンタルの順で改善していくと良い
現代人の不調の原因を進化論の観点から分析し、それについて研究した数々の実験結果から、体調を改善するためのヒントを多数紹介している
解説
体調が悪かった筆者の実体験+多くの論文によるメソッド
筆者の鈴木祐さんは、
以前はとある出版社の社員として、ほぼ不眠不休の暮らしをしていました。
月の残業は100時間を超え、家には週1で帰れれば良いレベル。会社に寝袋を持ち込んで明け方まで作業を続け、近所のコンビニで店屋物を食べながら30代に入ります。 当然ながら体はブクブクで、体調も仕事のパフォーマンスも下がっていくばかり。年収が200万円台まで下がったうえに、生まれつきのアレルギーも悪化を続け、月に一度は高熱で病院のお世話になっていました。
と語るように、社会の荒波に揉まれてストレスと戦いながら、心身を削る生活をしていたそうです。
そんな筆者が、「最高の体調」といった本を執筆するに至った最初の一歩が「パレオダイエット」でした。
ここから私は進化医学をもとにライフスタイルを変えていきました。ここでベースになったのは「パレオダイエット」です。 パレオダイエットは「旧石器時代の食事法」という意味で、進化医学のアイデアを使ってライフスタイルを組み替えていくテクニックです。近年ではプロバスケの世界などで実践者が増えた以外にも、ミーガン・フォックスのようなハリウッドスターやビル・クリントンのような政治家にまで裾野が広がっています。 パレオダイエットを実践し始めた私は、すぐにその変化に驚くことになります。 まずは半年も経たずに体重が 13kg減り、体脂肪率が 35%から 12%に落ちました。パンパンだった二重あごは消え、逆に筋肉が 6kgも増えたせいで腹にはうっすらと筋肉のラインが浮き上がっています。無意識のうちに肥満体の自分が当たり前になっていたため、正直この変化には目を疑いました。 さらに、何よりもありがたかったのは集中力と生産性の改善です。それまでは 1日に5000〜1万字の原稿が書ければ良いほうで、年に 6冊程度のブックライティングを行うのがやっとだったのが、いまでは年に 12冊ずつの本を出し、同時に月5〜6本のコラムを書いています。 1日の原稿量は 2万〜 4万字に増え、単純計算で生産性が 4倍になったわけです。
パレオダイエットの詳細について本書では触れていませんが、体調の改善のための第一歩は「食事」であると著者は言っています。
この改善に気を良くした著者は、食事療法だけでなく軽い運動を始め、さらにはマインドフルネスに代表されるメンタルケアも行うことで、「人生で今がもっとも体調が良い」と言うほどになりました。
この食事改善のあと、運動→メンタルケアといった分野に知見を広げた筆者が、多くの論文をもとに体調を良くする方法をまとめたのが本書になります。
厳選ポイント3つ
本書内では多くの体調改善のためのヒントが紹介されていますが、その中でもわたしが重要だと思った内容を3つ紹介します。
あらゆる不調の原因は「炎症」
体調不良・アレルギー・疲れやだるさ、身体機能の低下の原因は「炎症」である。
炎症を抑えることができれば、体調は改善していく
炎症を起こす要因の一つは「食べすぎ」
著者が自身で体験したように、体調不良を改善するための一つの方法は食事の改善だったわけですが、食事を改善したことで体調が改善した理由は、「炎症レベルが下がった」ためだと言われています。
進化論的な観点から言えば、人間は生存のために高カロリーのものをもとめるようにできています。
しかし現代ではカロリーの高いものが簡単に手に入るために、
カロリーのとりすぎ→内臓脂肪の蓄積→全身の細胞の炎症につながっているのです。
だから、食事を改善して内臓脂肪をへらすことができれば、体調は良くなっていくわけです。
3つのギャップ
本来の人類の身体のつくりと現代社会とのギャップが、炎症の大元になっているといいます。
ここで役に立つのが、ハーバード大学の古代人類学者ダニエル・リーバーマン氏が提唱したフレームワークです。リーバーマン氏は、古代と現代のミスマッチが起きるパターンを3つの枠組みでとらえました。
多すぎる :古代には少なかったものが、現代では豊富すぎる
少なすぎる:古代には豊富だったものが、現代では少なすぎる
新しすぎる:古代には存在していなかったが、近代になって現れた
例えば、
- 多すぎるものは「カロリー」
- 少なすぎるものは「睡眠」
- 新しすぎるものは「電子機器・デバイス」
これらは本来、人体のつくりの時点で想定されていないものであって、炎症の原因になりうるものになります。
精神的な不調にも「炎症」が関係している
全身の炎症は「うつ病」の原因にもなると考えられています。
うつ病の原因としてこれまで有力視されていたのは、セロトニンやドーパミンといった脳内ホルモンのバランスが崩れ、精神の不調を引き起こすといったものです。
抗うつ剤も脳内ホルモンを調整する作用があります。
しかし、鬱に苦しむ患者の中には、抗うつ剤が効かないケースもあるそうです。
脳内ホルモンを調整しても治らないうつ病について、原因は「炎症」にあるのではないか。
という仮説が注目されています。
全身で発生した炎症性の物質「サイトカイン」が脳にダメージを与えるという仮説で、複数の研究でもその可能性が示唆されています。
身体だけでなく精神にも影響を及ぼす「炎症」について、
しっかりと目を向けて改善していく必要があります。
腸に目を向けよう
身体の中で重要な役割を担っている「腸」。腸内細菌をもてなし、腸内環境を整えることで、毒素が体内に回ることを防いで、炎症を抑えることができる。
現代人の腸内環境は細菌にやさしくない
現代人の体調不良の原因としてあげられるのが、腸内環境の悪化です。
腸内細菌はおよそ100兆〜1000兆個存在し、人体の細胞の総数より多いとされています。
この腸内細菌の働きで、人体は腸内で「栄養だけは吸収するが、菌や毒素は吸収しない」といった高度な処理を行っています。
しかし現代では、
- 薬用殺菌ソープのような抗菌剤の使いすぎによる過剰な衛生
- 自然とのふれあいの減少
- 抗生物質の使用
- 加工食品の過剰摂取
などによって、現代人の腸内環境は悪化しています。
リーキーガットで毒が全身に回る
腸内では常に善玉菌と悪玉菌が戦いを繰り広げていて、主に勝敗はその数で決まります。
悪玉菌が優勢になり腸内環境が悪化すると、リーキーガットと呼ばれる「腸に穴があいた」状態になり、未消化の食物や毒素が全身にまわり、炎症を引き起こす原因になります。
腸の状態が悪いと、そもそも栄養を吸収できず、ビタミンなどをいくらとっても吸収されないので体調がよくなるわけもなく、一方で食べたものの毒素や悪玉菌のだす毒素が全身に回るので、栄養不足と毒の両方によって身体はボロボロになっていくわけです。
何をおいても、腸を整える必要があると言えますね。
腸内環境をよくするには
本書内では、腸内環境をよくするための方法として下記のような方法を勧めています。
- 食物繊維を多く摂る(ベリー類やココアなど)
- 抗生物質や薬用ソープ・抗菌アイテムをむやみに使わない
- 発酵食品をバリエーション豊かに摂る
- プロバイオティクス(腸内細菌)を使ったサプリを摂る
特に、食べるものが大きく変われば、
最短で3日程度で人間の腸内環境は改善することが報告されています。
自然に触れて「感情システム」を整えよう
体調はメンタルとも密接に関係している。「感情システム」と呼ばれるシステムのバランスが崩れてしまうことも、多くの体調不良の原因になる
感情システムとは
「感情システム」とは:
人間の心の動きを「脅威」「興奮」「満足」という3種類に分類した考え方です。
興奮
「喜び」や「快楽」といったポジティブな感情を作り、獲物や食事を探すためのモチベーションを生み出すシステム。おもにドーパミンで制御されている。
満足
「安らぎ」や「親切心」といったポジティブな感情を作り、同じ種属とのコミュニケーションに役立つシステム。オキシトシンなどで制御されている。
脅威
「不安」や「警戒」といったネガティブな感情を作り、外敵や危険から身を守るためのシステム。アドレナリンやコルチゾールなどで制御されている。
現代社会では「興奮」「脅威」が優勢になりがち
私達が最高のパフォーマンスを発揮するためには、これら3つのシステムがバランスよく機能していなければなりません。しかし、都市での暮らしでは「興奮」と「脅威」のシステムだけが活性化しやすくなります。
自然にふれてバランスを取ろう
本書内では、劣勢になりがちな「満足」のシステムを活性化させるためには、自然にふれるのが良いとしています。
数分間でも良いので公園に行ったり、自然豊かな風景の写真や環境音を聞く、観葉植物を眺めるなどでも効果があるそうです。
ここからは、一歩進んで「観葉植物」を取り入れてみましょう。やはり狩猟採集民の暮らしにはほど遠いものの、こちらも多くのデータで効果が示唆されています。
ノルウェーで行われた実験では、 385人のオフィスワーカーの年齢や仕事内容といった因子をコントロールしたうえで重回帰分析を行ったところ、はっきりとした違いがみられました。デスクの上に観葉植物を置いた従業員ほど主観的なストレスが低く、病気で会社を休む回数は少なく、仕事の生産性まで高い傾向が見られたのです。
これから実践すること
自然にふれる時間を増やす
本書内でも著者の体験として語られているように、まずは食事に気をつけつつ、
自然にふれる機会を増やしてみて、変化を観察してみたいと感じました。
近所の公園に散歩に行って、自然にふれる休憩時間をつくってみようと思います。
あとPCとかの壁紙を植物や自然風景のものに変えました。
あと語り
著者の鈴木祐さんの本を紹介するのは早くも3回目です。
この著者はいわゆる論文オタクで、数々の論文を読んではまとめて書籍化している人です。
著者のイメージが変わった
本書を読む前は、「もともと頭がよくて容量もよく、順調に勉強を進めた人」というイメージだったのですが、本書内でも語られているようにストレスと多忙の中で、体調不良と肥満に悩んでいた時期があったということで、なんだか親近感がわきました。
そのうえで、多数の実験結果や世界各国の原住民たちの生活、その身体的特徴などから、人類を進化論的に紐解き、悩みを解決するためのヒントを提示してくれるといった意味で、非常に多くの方に読んでみてほしい著作を多く出版されている方です。
人類を進化論的に読み解く
例えば、以前に紹介した MU-最高の状態 という書籍では、人類はもともとネガティブな生き物であり、だからこそ進化の過程で生き延びることができたことや、動物と違って人間だけが「未来のことを憂いて悩む」「過去のことを悔やむ」といった特性があり、だからこそ辛い気持ちを体験する生き物であることなどが述べられています。
このように鈴木祐さんの著作には「そもそも人類はこういう生き物だから、こうするしかない」といった、残酷ながらも明確な指針が示される物が多いです。
多くの研究・実験に裏打ちされ、筆者の実体験にも基づく著作が多いので、参考になる部分も多いと思います。
前作のYour Timeもかなりおもしろかったので、ぜひ気になったものから読んでみてください。
悩みの解決のヒントが必ず見つかります。
この「最高の体調」は、Kindle Unlimitedでも読むことができるので、この1冊だけ読むために加入しても良いくらいです。
わたしは目的の本があったら加入し、ついでに他の本も読んで、さっさと解約するといった使い方をします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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